Japanese
English
特集 国際コンセンサスからみた整形外科感染対策における最新知見
バイオフィルムに関するコンセンサス
International consensus on biofilm
崔 賢民
1
,
小林 直実
2
,
稲葉 裕
1
Hyonmin CHOE
1
,
Naomi KOBAYASHI
2
1横浜市立大学,整形外科
2横浜市立大学市民総合医療センター,整形外科
キーワード:
Biofilm
,
Quorum sensing
,
Minimum biofilm eradication concentration
Keyword:
Biofilm
,
Quorum sensing
,
Minimum biofilm eradication concentration
pp.267-272
発行日 2020年3月1日
Published Date 2020/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000001207
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要旨:整形外科インプラント感染が難治性となる大きな要因の一つに,原因菌によるバイオフィルムの形成が挙げられる。2018年に行われた国際コンセンサス会議ではバイオフィルムのセッションが行われ,バイオフィルムの形成と成熟のプロセスおよび治療に関するコンセンサスがまとめられた。バイオフィルム感染は,インプラントや組織に原因菌が付着することで始まり,急速な菌の増殖とともにバイオフィルムの形成と成熟が行われ,菌の増殖が一定数に達するとともに菌体および菌体外毒素がバイオフィルム外へ放出されることで発症する。バイオフィルム内の菌は浮遊細菌と大きく異なる性質をもつことが明らかとなっており,バイオフィルムと内部の菌の治療には従来抗菌薬の効果判定に使用される最小発育阻止濃度だけではなく,最小バイオフィルム破壊濃度を指標とした抗菌薬の使用が重要である。局所での抗菌薬の除法や抗菌作用をもつ生体材料の使用が,難治性であるバイオフィルム感染の治療における新たな治療方法として期待される。
Copyright © 2020, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.