Japanese
English
特集 整形外科とメンタルヘルス
慢性疼痛が精神に与える影響
-―基礎的アプローチ―
Basic research on psychiatric alteration induced by chronic pain
南 雅文
1
Masabumi MINAMI
1
1北海道大学大学院薬学研究院,薬理学研究室
キーワード:
Depression
,
Anxiety
,
Bed nucleus of the stria terminalis
Keyword:
Depression
,
Anxiety
,
Bed nucleus of the stria terminalis
pp.729-734
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000002583
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要旨:慢性疼痛とうつ病の併発率が高いことから,両者に共通する神経基盤の存在が推測される。慢性疼痛とうつ病の両方のモデル動物において,報酬刺激による側坐核内ドパミン遊離が減弱していることから,脳内報酬系機能低下が共通の神経基盤として重要であることが考えられる。慢性疼痛モデル動物において,分界条床核から腹側被蓋野に投射する神経への抑制性入力が恒常的に増大することで,脳内報酬系において中心的な役割を果たす腹側被蓋野ドパミン神経の活動が持続的に抑制される神経機構が明らかにされ,さらに,分界条床核から視床下部外側野に投射する神経への抑制性入力増大が不安情動を亢進することも示された。慢性疼痛が精神に与える影響の神経機構解明により,慢性疼痛による抑うつ・不安や破局的思考の脳内メカニズムの理解が進み,治療薬・治療法の開発につながることが期待される。
Copyright © 2023, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.