手術手技
食道胃接合部癌に対する再建困難性を左胸腔鏡アプローチ併用で克服する
辻 敏克
1
,
稲木 紀幸
1
1金沢大学消化管外科学/乳腺外科学
キーワード:
食道胃接合部癌
,
左胸腔鏡
,
再建
Keyword:
食道胃接合部癌
,
左胸腔鏡
,
再建
pp.349-354
発行日 2026年3月15日
Published Date 2026/3/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000004871
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近年,ピロリ菌感染率の低下と除菌治療の普及により胃癌の発生は減少傾向にある一方で,食生活の欧米化に伴い食道胃接合部癌(esophagogastric junction cancer;EGJ癌)の発生率は増加している1, 2)。EGJ癌は食道癌と胃癌の境界領域に位置するため,手術におけるアプローチ方法や切除範囲,再建法についていまだ議論が多い。なかでも,食道浸潤長が2.1~4.0 cmのSiewert typeⅡ症例では,下縦隔郭清と再建の双方を安全かつ確実に行うことが課題である。わが国の多施設前向き研究により,食道胃接合部癌の食道浸潤長に応じた至適リンパ節郭清範囲が明らかにされ,下縦隔郭清の必要性が示されている3)。一方で,経裂孔的アプローチによる腹腔鏡手術は低侵襲であるものの,食道浸潤が長い場合には再建操作の視野が不十分となり,吻合操作が困難で縫合不全のリスクが高まると報告されている4)。胸腔内での吻合高位化に伴うワーキングスペースの制限は,経裂孔アプローチにおける最大の制約といえる。従来,左開胸開腹法によるアプローチも行われてきたが,侵襲が大きく,JCOG9502試験においてもその有用性は否定的であった5)。近年ではロボット支援手術により胸腔内視野の確保や操作性が改善しつつあるが,設備面・コスト面からすべての施設で導入可能とは限らない。そこで,当科では,腹腔鏡操作に左胸腔鏡を併用することにより,良好な下縦隔視野を確保し,再建の確実性を高める手法を導入した。本稿では,この「左胸腔鏡併用腹腔鏡下アプローチ法」による再建困難性克服の工夫と手技の要点について概説する。

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