総特集 血管外科疾患の治療と手術手技─消化器・一般外科医が知りたい他科の技と工夫
Ⅱ.下肢動脈バイパス術 3)膝下動脈血管内治療の実際およびその可能性と限界
山岡 輝年
1
1松山赤十字病院血管外科
キーワード:
血管内治療
,
膝下動脈
,
CLTI
Keyword:
血管内治療
,
膝下動脈
,
CLTI
pp.1893-1900
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000003629
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下肢動脈疾患(lower extremity artery disease;LEAD)に対する血管内治療(endovascular treatment;EVT)は,今世紀になり大きな発展を遂げ,とくにこの10年は,手技の洗練化やステントやステントグラフトといった各種治療デバイスの進歩と相まって,治療成績が向上している。大動脈腸骨動脈領域から大腿膝窩動脈領域においては,一部の例外(総大腿動脈病変)を除き,EVTが血行再建治療のファーストラインになったと言っても過言ではない。一方,膝下動脈領域における血行再建治療においては,その対象が足部の難治性潰瘍・壊疽を伴う包括的高度慢性下肢虚血(chronic limb threatening ischemia;CLTI)であり,足部創傷や全身状態が複雑に絡み合い治療成績に影響を及ぼすことから,EVTなのかdistal bypassなのかについての議論はいまだ続いている。最近,欧米から2つのランダム化比較試験(CLTIにおけるEVT vs. Bypass)の結果が発表されたが,相反する結果であり結論には至っていない状況である1, 2)。
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