特集 閉塞性大腸癌の治療戦略と手術
2.閉塞性大腸癌に対する術前化学療法
中川 和也
1
,
石部 敦士
1
,
諏訪 雄亮
1
,
小澤 真由美
1
,
渡邉 純
1
,
遠藤 格
1
1横浜市立大学消化器・腫瘍外科学
キーワード:
閉塞性大腸癌
,
術前化学療法
Keyword:
閉塞性大腸癌
,
術前化学療法
pp.537-543
発行日 2023年5月15日
Published Date 2023/5/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000003272
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閉塞性大腸癌は,緊急対応が必要となる代表的な大腸疾患であり,緊急手術を含めた腸管の減圧が必要となる。明らかな遠隔転移を認めない閉塞性大腸癌の場合,わが国での標準治療は,腸管減圧後の原発巣切除(あるいは一期的原発巣切除)と術後補助化学療法である。しかし,閉塞性大腸癌は遠隔転移再発が多く予後不良であることが知られているだけでなく,腫瘍が大きい場合には剝離面に癌細胞が露出する可能性や,隣接臓器に浸潤している場合には拡大手術が必要となる可能性がある。そこで,腫瘍を縮小することで完全切除率を高めたり,臓器温存手術を可能にしたりすることが期待される術前化学療法(neoadjuvant chemotherapy;NAC)が日常診療では選択される場合もある。しかし,閉塞性大腸癌に対するNACの安全性や有効性に関する大規模なランダム化比較試験(randomized controlled trial;RCT)の報告はこれまでなく,十分なエビデンスがあるとは言えないのが現状である。
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