憧鉄雑感
第149回 白色皮膚描記症
安部 正敏
1
Masatoshi ABE
1
1医療法人社団 廣仁会 札幌皮膚科クリニック
pp.1291-1291
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000004724
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- 文献概要
図らずもタイトルが総説の如くなってしまった。皮膚科専門医であれば誰でも知る検査法であり,皮膚表面に物理的刺激を加えるとその部位が白くなる現象である。特異的ではないもののアトピー性皮膚炎患者において陽性となり,患者の納得度も格段に上がる手軽な検査である。筆者も若かりし頃,患者の皮膚を片っ端から棒でひっかき悦に入っていたが,知る人ぞ知る本検査の手法はかなり奥深いものである。鉄道の知識のみが豊富な筆者が何故それを知るかと言えば,自ら最新論文を検索し学び得た知識……であろう筈もなく,筆者の皮膚科の師である宮地良樹先生より,同テーマの原稿を依頼されたことに始まる。それまで皮膚描記症など深く考えたこともなかった筆者であったため,何を書けばよいか皆目検討もつかず手探りに学んだのが事の始まりである。おそらく宮地先生は筆者を少しは真面な皮膚科医にすべく,無言で学びの機会を与えてくださったのであろう。小児アトピー性皮膚炎患者に本法を見せると面白がって自らやり始め,コミュニケーションに最適であるが,さりとて皮膚科専門医でなければ正しい手技が身につかぬ一見容易な奥深いテクニックである。
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