目でみる耳鼻咽喉科
舌白色病変のレーザー切除
村上 泰
1
1京都府立医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.88-89
発行日 1989年2月20日
Published Date 1989/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200297
- 有料閲覧
- 文献概要
舌に白色病変をみる機会は多い。肉眼的には同じようにみえるから一括してleukoplakiaと呼ぶが,病理組織学的には単純肥厚,hyperkeratosis (図1),dysplasia(図2),癌(図3)が含まれていて,その鑑別は臨床的に難しいことが多い。癌では切除が必須だが,dysplasiaでも良い治療法はなく,機能障害をきたさないレーザー切除が最も安全確実である。
その場合の切除範囲の決定にはLugol生体染色法によるのがよい。経鼻挿管全麻下舌を引き出し,よく乾燥させてから,あやしいところ全体に咽頭塗布用Lugolを塗布する。5〜6分経つと,正常粘膜は黒褐色に染まるのに対して,糖代謝に異常があってヨード反応のない癌では白色のままである。dysplasiaも同様に白色となるから,正常粘膜と識別することができる。白色のところを残さないように切除すればよいことになる(図4〜7)。粘膜下に拡がる癌(図8)でも白色となるから,取り残す危険は少ないが,切除の深さを決めることはできないので,切除標本をよく調べておくことが大切である。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.