特集 病態から考える薬物療法
第Ⅲ章 紅斑症・好中球関連皮膚疾患
3 Sweet病
金澤 伸雄
1
,
和田 吉弘
1
Nobuo KANAZAWA
1
,
Yoshihiro WADA
1
1兵庫医科大学,皮膚科学教室
キーワード:
Sweet病
,
Sweet症候群
,
急性熱性好中球性皮膚症
,
ヨウ化カリウム
Keyword:
Sweet病
,
Sweet症候群
,
急性熱性好中球性皮膚症
,
ヨウ化カリウム
pp.674-678
発行日 2022年4月20日
Published Date 2022/4/20
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000003247
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Sweet病あるいはSweet症候群は,1964年にプリマス総合病院のSweetが,多形紅斑と似るが異なる皮疹を呈し,発熱,末梢血好中球増多,四肢頭頸部の有痛性紅斑と,真皮に密な好中球浸潤を認める組織所見を4主徴とする8症例をまとめ,急性熱性好中球性皮膚症(acute febrile neutrophilic dermatosis)として報告したことに由来する,比較的新しい疾患概念である1)。1994年に米国皮膚科学会が生涯教育目的で掲載したvon den Drieschの総説には,本疾患は古典的には,非特異的な呼吸器や腸管の感染症に続き,発熱や倦怠感を伴って中年女性の顔面,頸部,胸部,四肢に水疱やときに膿疱を混じる隆起した紅斑局面を生じるが,眼や関節,口腔粘膜だけでなく,肺や肝,腎,中枢神経系の病変も伴うとある2)。感染症や自己免疫疾患,ワクチン接種後など炎症性疾患に伴うものと,血液増殖性疾患や固形悪性腫瘍など悪性新生物に伴うものを合わせると約25%が該当し,妊娠に伴うものは2%とされるが,約70%は原因不明である。最近の総説においても,臨床病型として,感染症や炎症性腸疾患,妊娠に伴い,原因不明のものを含む「古典型(特発性)」,血液系あるいは固形悪性腫瘍に伴う「悪性腫瘍随伴型」,G-CSFなどの薬剤使用に伴う「薬剤誘発型」に大別される3)。
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