良悪性の診断に苦慮したProliferating Trichilemmal Tumorの2例

Two cases of proliferating trichilemmal tumor that was difficult to determine whether malignant or benign

症例1：72歳，女性。後頭部正中に手拳大の広基性有茎性腫瘤があった。症例2：58歳，男性。右前腕に易出血性の12×9.5×6cmの暗紅色で表面平滑な広基性腫瘤を認めた。2症例とも全摘出と植皮術を施行した。病理学的には，腫瘍内部は多房性の囊腫であり，内腔には外毛根鞘性角化を伴った。腫瘍被膜を超えて核異型のある腫瘍細胞の浸潤を認めた。第4版WHO分類に従いproliferating trichilemmal tumor（PTT）と診断したが，いずれも悪性の性質をもつと考えた。PTTは細胞の異型性は問わず，包括されているが，個々の症例における悪性度評価を行うことは非常に重要である。自験でも，悪性であることを念頭に置いたフォローが必要である。