綜説
白内障手術とquality of life
綾木 雅彦
1
1慶應義塾大学医学部眼科学教室
キーワード:
白内障
,
眼内レンズ
,
白内障手術
,
QOL
,
睡眠
,
歩行速度
Keyword:
白内障
,
眼内レンズ
,
白内障手術
,
QOL
,
睡眠
,
歩行速度
pp.659-665
発行日 2024年7月5日
Published Date 2024/7/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003696
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白内障手術は生活の質(quality of life:QOL)を劇的に改善する治療である。光学的には眼内レンズにより20歳前後の視機能が期待でき,視力改善効果は大きい。さらに,患者の行動範囲が広がり,社会活動が増え,運動機能の増強,認知機能改善,睡眠改善効果も報告されている。近年,視力・視機能以外に,光受容の改善による効果が明らかになり,QOLを改善させる治療としての価値がさらに高まってきた。光受容については従来から知られている網膜の杆体細胞と錐体細胞のほかに,神経節細胞の一部がブルーライトを受容して神経系に重要なシグナルを送っており,発達や生存に必須の機能をもっていることが明らかになっている。本稿では白内障手術前後のQOLに関して,筆者が行った歩行速度と睡眠の質の研究を中心に最近の知見を述べる。
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