マルチモーダルイメージングによる眼科疾患の診断と病態解明
12.角膜伝染性軟属腫と前眼部光干渉断層撮影法
藤田 幸大
1
,
加瀬 諭
1
1北海道大学大学院医学研究院眼科学教室
pp.1429-1431
発行日 2023年12月5日
Published Date 2023/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003438
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伝染性軟属腫(MC)は,ポックスウイルス科に属する伝染性軟属腫ウイルスによって引き起こされる皮膚感染症としてよく知られ,“みずいぼ”とも呼ばれる。病変は中央にくぼみを伴った,白色調のドーム型の光沢のある隆起として始まる。手掌と足底以外の皮膚では,どこでも発生する可能性がある。好発部位は顔面,首,腋窩,胸部,大腿,臀部,性器である。病変は一箇所から数十箇所に及ぶこともあり,しばしば集簇する1)。眼科疾患としては通常は眼瞼皮膚に病変を有する2)。角膜輪部に病変を呈する症例報告は渉猟する限り1件のみであり,細隙灯顕微鏡所見と病理組織学的所見(HE染色)が報告されている3)。そのため,角結膜病変としてのMCに関する臨床情報はほとんど知られていない。本稿では,未治療のHIV患者の角膜輪部に発生したMCの症例を,前眼部光干渉断層撮影法(AS-OCT)所見および切除腫瘍の病理組織学的所見とともに報告し4),併せて文献的考察を行う。
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