特集 斜視に対するA型ボツリヌス毒素(BTX-A)注射療法
2 急性内斜視の固視眼BTX-A注射の効果について
宇井 牧子
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1CS眼科クリニック(東京都文京区)/横浜労災病院眼科(横浜市)/東京大学医学部眼科学教室
キーワード:
内斜視
,
ボツリヌス毒素
Keyword:
内斜視
,
ボツリヌス毒素
pp.1477-1481
発行日 2019年12月5日
Published Date 2019/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001473
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1 急性内斜視の現状
急性内斜視は年長児から成人に急性~亜急性に発症する後天性の内斜視である。発症初期は間欠性内斜視のこともあり,それまでの眼位は良好なことから,多くは本来正常の両眼視機能を有しており,複視の自覚を伴う1)2)。まれな疾患とされているが,近年急性内斜視の報告が増加している。2016年,Leeらによって,スマートフォンの過剰使用が原因で起きる急性後天共同性内斜視が報告された3)。本邦においても,吉田らによってスマートフォンを含むinformation and communication technology:ICT機器の過剰使用が発症契機と考えられた,急性内斜視を含む小児斜視症例が報告された4)。急性内斜視の増加には,我々の生活に必要不可欠となったデジタルデバイスの使用が影響を及ぼしている可能性があり,「若年者の後天共同性内斜視とデジタルデバイス使用の関連に関する多施設前向き研究」が行われようとしている。
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