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眼科医療は,基礎医学,疫学,診断,治療と,いずれの領域をとってみても,その発展は目覚ましく,緑内障診療の分野もその例外ではない。近年は毎年のように新しい薬剤や診断機器,治療機器の名前を耳にし,自分自身の知識を着実にアップデートしていくことは,緑内障専門医にとっても容易ではない。このような背景を考慮し,わが国の緑内障診療の指針となるべく,日本緑内障学会は,2003年に緑内障診療ガイドラインを発表した1)。以後,時代ごとの医療の進歩に伴う緑内障診療の変化とともに,2006年に第2版2),2012年に第3版と改訂され3),日本緑内障学会々員のみならず,広く一般眼科医による緑内障診療の基本を明示するものとして重要な役割を果たしてきた。さらに,2018年の1月に,現時点の最新版となる第4版が発表となった4)。第3版からの大きな変更点として,ガイドライン作成に関する指針,「Minds診療ガイドライン作成マニュアル」に準じて,推奨の強さとエビデンスの強さを提示した(表1)。このマニュアルは,エビデンスに基づく医療(evidence-based madicin:EBM)の考え方を重視した国際標準に従ったものである。同マニュアルが推奨する大規模なシステマティックレビューによるエビデンス総体の評価と統合については将来の課題とし,今回の改訂では,従来の緑内障学会々員から選出されたガイドライン作成委員会によって,エビデンスの評価を含めた改訂作業を行った。また,諸外国の緑内障診療ガイドラインとの整合性を重視する必要があることから,委員会で議論され,特に国際的な合意事項については,本ガイドラインの内容と矛盾のないように改変した。今回の改訂では,国際合意に基づいて,分類に小児緑内障を新設したことが大きな変更点である。さらに,新たに普及した概念,既に臨床応用されている検査法,薬剤,レーザー,手術などの新しい治療法について記載が加えられた(表2)。本稿ではこの最新の緑内障診療ガイドラインについて,第3版からの変更点を中心に解説を加えたいと思う。
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