Ⅱ.所見からみた診断の進め方
3 眼位異常 4)麻痺性斜視・機械的斜視
岡本 真奈
1
,
木村 亜紀子
1
1兵庫医科大学眼科学教室
pp.1171-1176
発行日 2018年9月30日
Published Date 2018/9/30
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000845
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麻痺性斜視・機械的斜視は,ともに眼球運動制限を伴う斜視であるが,眼球運動と眼位の相関をみる必要がある。たとえば,同じ内斜視でも,外転神経麻痺では外直筋が麻痺し外転方向への眼球運動制限を認める(麻痺性パターン)が,甲状腺眼症では内直筋の肥大・拘縮により外転制限を認める(拘縮性パターン)。麻痺性斜視の代表疾患は眼運動神経(動眼・滑車・外転神経)麻痺であるが,他に重症筋無力症,IgG4関連眼疾患なども含まれる。一方,機械的斜視は眼窩吹き抜け骨折,甲状腺眼症,Duane症候群,Brown症候群,外眼筋線維症などが挙げられる(表1)。外観上,斜視にみえないケースや眼球運動制限が肉眼的にはわかりにくいケースもあり,問診や他覚的検査所見などから的確に診断することが必要である。本稿では,頻度の高い麻痺性斜視,機械的斜視について解説する。
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