綜説
小児の異状死体への対応
川崎 志保理
1
1順天堂大学医学部附属順天堂医院 心臓血管外科学・病院管理学
キーワード:
医事法制
,
児童虐待
,
乳幼児突然死症候群
,
報告の義務化
,
剖検
,
異状死体
Keyword:
Child Abuse
,
Legislation, Medical
,
Sudden Infant Death
,
Mandatory Reporting
pp.49-53
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00639.2017116376
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小児の死亡は、成人の死亡とは異なり、自殺や交通事故が上位を占める。これらは異状死体に分類され、cardiopulmonary arrest on arrival(CPAOA)と呼ばれる心肺停止状態で来院した患者が蘇生の甲斐なく死亡するケースが多い。本稿では、医師法第21条の要旨と臨床における注意点についてまとめた。乳幼児突然死症候群は原因不明の乳幼児の突然死であることから、死亡原因を安易に両親への問診や発見状態で判断することは避けるべきである。定義が確立されているが、解剖せずにその状況から鑑みて死亡診断書に記載するべきではない。虐待死亡への対応については、暴力による身体的虐待は体表異状で見つかる場合も多いが、意図的に虐待が隠されている場合も多く、外から見えにくい部位にも注意を払って観察することが肝要である。
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