手術症例報告
炎症性腫瘤として切除された膵頭部血管腫の1例
筒山 将之
1
,
鹿野 敏雄
,
奈良 佳治
,
蜂須賀 丈博
,
森 敏宏
,
篠原 正彦
1四日市市立四日市病院 外科
キーワード:
血管腫
,
MRI
,
腫瘤
,
鑑別診断
,
膵臓腫瘍
,
腹部CT
Keyword:
Diagnosis, Differential
,
Hemangioma
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Pancreatic Neoplasms
pp.1357-1360
発行日 2016年9月15日
Published Date 2016/9/15
DOI https://doi.org/10.18888/J00620.2017025633
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症例は28歳女性で、上腹部痛を自覚し、湿布薬などで経過観察したが改善しなかった。高度炎症所見を示したが、肝胆道系酵素、膵酵素、腫瘍マーカーは基準値の範囲内であった。腹部超音波画像では、比較的境界明瞭な壁肥厚を伴う内部が均一な低エコー像を呈する嚢胞性腫瘤を認めた。腹部造影CTでは、十二指腸下行脚腹側に径5.7×5.4cmの壁構造がやや厚く不整な嚢胞性腫瘍を認めた。エコーガイド下穿刺ドレナージを試みたが排液はなく、ドレナージは断念した。抗菌薬治療を試みたが腹部所見及び炎症所見の改善は乏しく、感染のコントロールを目的として入院4日目に手術を施行した。病理組織学的所見で、膵海綿状血管腫と診断した。術後の経過は良好で、炎症所見も速やかに消退した。ドレーンからの出血や膵液漏出は認めず、術後8日目に軽快退院となった。術後1年の現在、再発を認めていない。
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