症例
血液透析患者の機能性過多月経に対してSequential療法を行い、妊孕性を温存しえた1例
中島 文香
1
,
加藤 宵子
,
端本 裕子
,
長谷川 哲哉
,
石川 雅彦
1大和市立病院 産婦人科
キーワード:
性腺刺激ホルモン放出ホルモン
,
血液透析
,
月経過多
,
腎不全-慢性
,
Dienogest
,
妊孕性温存
Keyword:
Gonadotropin-Releasing Hormone
,
Kidney Failure, Chronic
,
Renal Dialysis
,
Menorrhagia
,
Fertility Preservation
,
Dienogest
pp.1107-1109
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00535.2016407351
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症例は36歳、未経妊で、慢性腎不全に対して30歳から血液透析を導入した。導入後6年間は月経異常を認めなかった。4ヵ月前から過多・過長月経を認め、数種類の低用量・中用量エストロゲン・プロゲステロン配合剤(EP剤)の投与と、透析時の抗凝固剤の変更による止血が試みられたが、出血は持続した。意識消失をきたす多量出血を認め、救急搬送となった。出血性ショックに起因すると思われる透析用シャントの閉塞を認めた。内診・経腟超音波検査上、子宮に器質的疾患を認めず、機能性性器出血と診断した。腎移植・透析離脱後の強い挙上希望があったため、GnRHa(リュープロレリン酢酸塩)の投与を開始した。GnRHa投与中は少量の出血を断続的に認めたが、貧血の進行はなかった。6回投与終了の時点で腎移植の目途が立っておらず、治療継続が必要な状況であったため、ジェノゲストの投与を開始した。ジェノゲスト投与28ヵ月目に生体腎移植を施行し、透析を離脱、その3ヵ月後にジェノゲストを中止した。中止後1ヵ月で月経が再開し、4ヵ月後の時点で月経周期は整調である。
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