特集 整形外科の外傷治療-現状と課題-
Ⅳ. 手外傷,開放骨折,術後感染,偽関節治療における現状と課題
骨接合後の感染,骨髄炎の治療
圓尾 明弘
1
1製鉄記念広畑病院整形外科
pp.118-125
発行日 2020年4月1日
Published Date 2020/4/1
DOI https://doi.org/10.18885/JJS.0000000277
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骨接合後の感染は感染の制御と骨折の治療を両立させる必要があり,治療に難渋することが多い。骨軟部感染症が難治化する原因として,外傷によって損傷を受けた局所の血流が悪く経静脈的には抗菌薬が移行しにくいこと,さらにインプラント周囲に形成されるバイオフィルムを制圧するには高濃度の抗菌薬が必要になることが挙げられる。このため,その治療は抗菌薬の経静脈投与に加えて,局所投与が治療の鍵となる。抗菌薬の局所投与としてキャリアから徐放させる方法は,掻爬した後の死腔の管理にも有効である。一方,iMAP,iSAPは高濃度抗菌薬を微量持続投与することで,これまで掻爬していた組織をある程度温存しながら,インプラントを留置して感染の制御が可能となる。それを前提とした骨軟部の再建計画を立てることができるため,これまでの感染の治療戦略を変革する可能性を秘めている。
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