特集 一人の診察であわてないために!病状と検査結果から導き出す確定診断のコツ
病院の外で 飛行機内での循環器対応(胸部症状・意識障害) 通常の循環器対応と異なるところは?何を除外すればよいのか?
今 明秀
1
1八戸市立市民病院
キーワード:
意識障害
,
医師の役割
,
救急医療サービス
,
心臓血管疾患
,
航空機
Keyword:
Aircraft
,
Cardiovascular Diseases
,
Consciousness Disorders
,
Emergency Medical Services
,
Physician's Role
pp.47-51
発行日 2017年11月1日
Published Date 2017/11/1
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018029937
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
My Answer
サンフランシスコから関西空港行きの便がアラスカ上空に達したとき,急病人発生の機内放送があった。A医師(私:産婦人科医・産業医・健診医)が直ちにかけつけ,医師であることを証明できないまま乗客(患者)の診察を行った。64歳男性。主訴は一過性の胸苦しさで,虚血性心疾患の既往はないがニトロ舌下錠を直ちに服用していた。脈拍86/分・整,収縮期圧135mmHgで,視診では顔・頸部・胸部・上肢には循環不全徴候は認められず,騒音のため心肺音は聴取不能であった。そこへ複数枚の自分の名刺をもったB耳鼻科医があらわれ,A医師は退去を命じられ座席に戻った。しばらくしてB医師がA医師の座席に来て「ここアラスカで緊急着陸するか日本まで飛行を続けるか判断してほしい」とA医師に依頼した。A医師は再度診察し,心不全徴候がなく,胸痛がないことより心筋虚血はないと診断し,飛行継続可能と判断した。関西空港到着後,直ちにR総合病院へ搬送された。心電図検査・心エコー図検査,後日の負荷検査でも心臓の異常はなかったとのことであった。
Copyright© 2017 MEDICAL VIEW CO., LTD. All rights reserved.