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頭蓋内病変の画像所見スペクトラム(第2回) メトトレキサート(MTX)脳症MIMIC 大脳半卵円中心拡散低下病変の鑑別
山本 麻子
1
,
住田 薫
,
櫻井 圭太
,
豊田 圭子
,
大場 洋
1帝京大学 医学部放射線科
キーワード:
Fluorouracil
,
Methotrexate
,
MRI
,
鑑別診断
,
低血糖症
,
脳疾患
,
脳梁
,
白質脳症
,
Marchiafava-Bignami病
Keyword:
Brain Diseases
,
Corpus Callosum
,
Diagnosis, Differential
,
Fluorouracil
,
Hypoglycemia
,
Methotrexate
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Marchiafava-Bignami Disease
,
Leukoencephalopathies
pp.1510-1514
発行日 2018年12月26日
Published Date 2018/12/26
DOI https://doi.org/10.18885/J01843.2019081409
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MTX脳症の概説
メトトレキサート(methotrexate;MTX)は,薬剤性白質脳症をきたす原因とし て最も頻度が高い。葉酸を還元するジヒドロフォレート レダクターゼ (dihydrofolate reductase;DHFR)の反応を阻害することによって核酸合成を抑 制する葉酸拮抗薬である。中枢神経組織での髄鞘形成に必要なメチオニンの合成阻 害を起こし,白質脳症を起こすと考えられている。また,髄鞘安定化酵素の阻害, 代謝産物の中枢神経系への直接毒性なども指摘されている。MTXは血液脳関門を通 過しにくいため,髄腔内/脳室内投与で出現頻度が高い。大量投与および放射線照射 併用がリスクとして知られており,遅発性に散在性壊死性白質脳症(disseminated necrotizing leukoencephalopathy;DNL)を起こすことがある。ただし,患者に より薬剤感受性は異なり,経静脈的MTX投与患者や低用量MTX経口投与患者にお いても報告例がある。白質脳症は亜急性型ではMTX投与後数日〜数週間で片麻痺や 失語などの梗塞様症状として出現し,中止により数日で改善することが多い。
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