連載 心臓の解剖【知っておきたい知識 -疾患の病態生理から治療へつなげる解剖学-】
第15回
僧帽弁構造の基本と疾患
井川 修
1
1日本医科大学付属病院/セントマーガレット病院 循環器内科
pp.632-641
発行日 2022年6月9日
Published Date 2022/6/9
DOI https://doi.org/10.18885/HV.0000000955
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●僧帽弁(MV)構造を理解するためには,周辺構造との関連を理解することが重要である。
●僧帽弁弁輪(MVA)は,「捩れたらせん状に変形した楕円形」の構造である。
●僧帽弁前尖は,左室(LV)内腔を流入路(LVIT)と流出路(LVOT)に分けている。
●僧帽弁前尖弁輪(MVA(AML))は,連続する構造物を基準にすることにより2つの部位に分けられる。
●僧帽弁前尖弁輪の前方5/6は,aortomitral fibrous continuityを介して大動脈弁左冠尖弁輪(AoVA(LCC))後半部および無冠尖弁輪(AoVA(NCC))後半部と連続する。
●僧帽弁前尖弁輪の後方1/6は,中心線維体(CFB)を介して三尖弁中隔尖弁輪(TVA(STL))と連続する。
●僧帽弁後尖弁輪(MVA(PML))は,左房自由壁(左心耳・左房後壁)と左室自由壁[左室流入路自由壁(左室後壁・後側壁)]の間に存在する。
●僧帽弁前尖・後尖は2つの構造物ではなく,1つの構造物が区画されている様相となっている。その交連部は小さな弁尖(交連尖)と認識できる場合もある。
●僧帽弁後尖構造は3つのscallopに分けられるが,両端が交連尖に相当する。
●僧帽弁弁尖への腱索(TCh)の付着様式は,その閉鎖・開口様式と密接な関係がある(詳細は本文中に提示)。
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