連載 心臓の解剖【知っておきたい知識 -疾患の病態生理から治療へつなげる解剖学-】
第9回
上大静脈の基本構造と疾患
井川 修
1
1日本医科大学付属病院/セントマーガレット病院 循環器内科
pp.1222-1229
発行日 2021年12月9日
Published Date 2021/12/9
DOI https://doi.org/10.18885/HV.0000000788
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●上大静脈(SVC)は,右前主静脈(R-ACarV)(の一部)および右総主静脈(R-CCarV)(の全体)より形成される。
●SVCは右房(RA)の大静脈洞(SV)に連続するが,その境界は明瞭ではない。
●SVCにはRAのSVより心筋鞘(myocardial sleeve)が伸展している。
●SVCに伸展する心筋鞘は,全周性に取り巻いていない。
●SVCに伸展する心筋鞘は,RAのSVよりいくつかの束で上行し,下方からみて時計方向回りにSVCを取り巻いている。
●SVCに伸展する心筋鞘は,少なくとも奇静脈レベルまではみられる。
●SVCを心外膜側よりみると,その後方の一部を除き,右肺動脈中央の高さまで心膜により覆われ,同部位で心膜の翻転が認められる(心膜翻転部)。
●SVCは,前方からみて左斜めやや上方に走る心膜翻転部の線を境に,上方の心膜が存在しない領域(SVCo)と下方の存在する領域(SVCi)に分けられる。
●SVCの心筋鞘のうち,心膜翻転部外領域(SVCo)にあるものから起こるabnormal electrical firingが,非肺静脈起源心房細動の原因となる可能性が推測される。
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