2 HFpEF（代償期）

左室駆出率（LVEF）の保たれた心不全（HFpEF）の診断では，　

①臨床的に心不全症状を呈する

②LVEFが保たれている（多くの国のガイドラインではLVEF＝50％を基準としている）

③左室拡張能障害を有する

の3点を満たすことが標準的コンセプトである。このなかでは左室拡張能障害の検出が鍵となるが，逆に左室拡張能障害さえ検出できればHFpEFと判断して，それで診断したといえるのか？　本稿では，この点に主眼を置いて症例を提示しながら議論したい。