女性骨盤−稀少部位での子宮内膜症の画像診断−

稀少部位子宮内膜症は，子宮内膜症全体の0.5〜数％を占め，厚生労働省の集計では，腸管子宮内膜症が45％，胸腔子宮内膜症が33％，膀胱・尿管子宮内膜症が14％，臍部子宮内膜症が7％であった。子宮内膜症の発生機序については，月経血逆流による子宮内膜インプラント説が有力で，そのほか血行性・リンパ行性転移説，体腔上皮化生説，Müller管遺残説などが挙げられる。遭遇する頻度は決して高くはないが，部位ごとに発生機序が異なり，症状も部位ごとに多様で，治療方針も異なってくる。よって臨床医が診療においてピットフォールに陥りやすい疾患の1つで，われわれ画像診断医が，部位ごとの臨床的特徴，画像所見を熟知し，正確に診断することが求められる。