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第8回
造影剤の体内動態を解明した基礎的論文
五島 聡
1
1浜松医科大学 放射線診断学講座
pp.346-347
発行日 2023年3月26日
Published Date 2023/3/26
DOI https://doi.org/10.18885/CI.0000001214
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CTやMRIの際に静脈内投与される造影剤に関して,薬物動態学的および生理的要因を調査し,どのようなタイミングで大動脈濃染がピークに達するのかを明らかにしている。本論文ではコンパートメントモデルによる解析を主体とし,4匹のブタを用いたCTの実験撮像により大動脈におけるtime–density–curveがよく一致することを実証している。造影剤注入時間を徐々に延長させることにより大動脈濃染がピークに達するタイミングも直線的に延長し,さらに造影剤注入時間をテストボーラスによる大動脈到達時間よりも長く設定した場合,大動脈の濃染ピークは造影剤注入終了直後に訪れることが示された。造影CTでは用いる造影剤の濃度や注入速度によりさまざまなtime–density–curveを生じるものの,本論文の内容を理解すれば,いかなるときに最適な撮像タイミングを得ることができるのかについての基礎的な理解に結びつく。
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