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【要 旨】
目 的:関節リウマチ(RA)患者において,病勢が脊椎矢状面アライメントに及ぼす影響を明らかにすることである.
対象および方法:京都大学のRA患者データベース(KURAMAコホート)に登録されている18歳以上の患者で,2年以上の間隔を空けて立位の全脊椎X線像が撮影されている549例を抽出した.脊椎の手術歴,X線像計測不能,病勢の評価がなされていない患者を除外し,薬歴を含めた背景因子や脊椎矢状面パラメータを縦断的に調査した.疾患活動性はdisease activity score 28 with erythrocyte sedimentation rate(DAS28-ESR)を用いて評価し,観察期間中に高い活動性を示した群をpersistent moderate/high disease activity(pMDA/HDA),活動性が低い群をnon-pMDA/HDAとした.
結 果:本研究では,平均追跡期間5年間のRA患者197例を対象とした.患者の平均年齢は62.4歳,女性81.7%であり,メトトレキサート使用率78.2%,生物学的製剤使用率50.8%,グルココルチコイド使用率26.9%であった.各群の背景因子を傾向スコアマッチングにより調整したところ,pMDA/HDA群はnon-pMDA/HDA群に比べてpelvic tilt(PT)の年換算変化速度が0.79°/年vs. 0.01°/年(p=0.001)と有意に速かった.また,新規椎体骨折発生率はpMDA/HDA群15.6%,non-pMDA/HDA群5.3%(p=0.031)であったため,骨折例を除外したサブグループ解析を実施し,同様に傾向スコアマッチングを行った.骨折例除外後においてもPTの増加速度は0.73°/年vs. 0.19°/年(p=0.005)と依然として有意に速かった.
結 論:RA患者では脊椎矢状面アライメントが経時的に悪化し,特に胸椎後弯と骨盤後傾が進行する.RAの病勢は脊椎矢状面アライメントの悪化に寄与すると考えられる.

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