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連載 最新原著レビュー
一般住民における非対称性外反母趾に対する腰椎疾患の影響
Impact of lumbar spine pathology on asymmetrical hallux valgus in a population-based cohort study
松本 卓巳
1
,
吉村 典子
2
T. Matsumoto
1
,
N. Yoshimura
2
1東京大学医学部附属病院整形外科
2東京大学医学部附属病院22世紀医療センターロコモ予防学講座
1Dept. of Orthop. Surg., The University of Tokyo Hospital, Tokyo
キーワード:
hallux valgus
,
scoliosis
,
spondylolisthesis
Keyword:
hallux valgus
,
scoliosis
,
spondylolisthesis
pp.1247-1250
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_1247
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【要 旨】
目 的:本研究の目的は左右で重症度の大きく異なる非対称性外反母趾の発症に腰椎疾患が関与しているかを検討することである.
対象および方法:大規模一般住民コホートであるresearch on osteoarthritis against disability(ROAD)studyのデータを用いた.足部正面単純X線像により外反母趾の重症度を4段階に分類し,左右の重症度に2段階以上の差がある症例を「非対称性外反母趾」と定義した.対照群は,「外反母趾のない正常群」および「左右差が1段階以内の対称性外反母趾群」からマッチングされた.単変量解析および多項ロジスティック回帰分析により,腰椎疾患(すべり症,側弯症)と非対称性外反母趾との関連を検討した.
結 果:1,997例の参加者のうち,非対称性外反母趾は27例(1.4%)にみられた.単変量解析では,非対称性外反母趾群においてL5すべり症と側弯症の頻度が有意に高かった.多項ロジスティック回帰分析では,側弯症が非対称性外反母趾の発生と独立して関連していた(オッズ比3.586,95%信頼区間1.111~11.582,p=0.033).
結 論:非対称性外反母趾はまれな病態であるが,特に側弯症をはじめとする腰椎疾患との関連が示唆された.

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