Japanese
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経験と考察
人工股関節全置換術におけるBauer法とorthopadische chirurgie of München(OCM)法による歩行レベルごとの獲得時期の違い
Difference in the timing of gaining walking ability between direct lateral approach and anterolateral approach in total hip arthroplasty
福谷 早耶香
1
,
門𦚰 俊
2
,
内尾 祐司
2
S. Fukutani
1
,
M. Kadowaki
2
,
Y. Uchio
2
1島根大学医学部附属病院リハビリテーション部
2島根大学整形外科
1Dept. of Rehabilitation Medicine, Shimane University Hospital, Izumo
キーワード:
THA
,
surgical approach
,
gait ability
Keyword:
THA
,
surgical approach
,
gait ability
pp.810-813
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_810
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は じ め に
人工股関節全置換術(THA)は末期関節症患者に対する治療手技として選択され,多くの患者は痛みの緩和,股関節可動性の向上,関節機能の改善,そして生活の質(QOL)の向上を得られる1).しかしながら少数ではあるが,痛みが持続して完全な機能や活動性取り戻すことができない患者が存在する.その理由としてインプラントの固定性不良,関節不安定性,そして手術手技による軟部組織損傷があげられ2),最適な手術進入路を選択することでこれらのリスクを最小限とし,手術成績が向上するとされている3).伝統的な手術進入路として,前方,前外側,側方,経大転子,後方が用いられてきたが,手術手技による侵襲の低減,軟部組織損傷の回避をめざして改良が続けられている4).
近年では股関節周囲の筋・腱を温存する最小侵襲手術が普及しつつあり,本邦の診療ガイドラインにおいてもその有用性が述べられている5).それによれば前方および前外側進入法の中でも筋・腱非切離例では入院日数を短縮でき,術後早期の機能回復がよく,患者満足度も高いとされ,さらに早期の社会復帰や医療コストの削減といったメリットにも触れている.これまでに手術進入路による有効性の違いについては多くの研究がなされているが,術後6週以降の疼痛や筋力,歩行機能,日常生活動作(ADL)を調査したものが大半であり,術後早期の歩容ごとの歩行獲得時期について手術進入路による影響を調査した報告は少数である.
本研究の目的は,初回THA後早期における手術進入路による歩容ごとの歩行獲得時期の違いを明らかにすることである.
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