誌説
ラグビーワールドカップ2023フランス大会
近藤 英司
1
1北海道大学病院スポーツ医学診療センター教授
pp.220-220
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_220
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ラグビーは,1823年に英国ラグビー校でのフットボールの試合中に,William Webb Ellisがボールを拾い,走り出したことが発祥とされている.15人と最も多くの人数で行うスポーツであり,楕円形のラグビーボールを相手陣の得点圏に運ぶ陣取りゲームである.フォワード8人,バックス7人で構成されるが,選手の個性に合ったポジションを見つけやすいのも大きな特徴である.例えば,身長が低くても俊敏な選手はスクラムハーフやウィング,体格が大きく力が強ければフォワード,足が速くキックが得意であればバックスなどである.15人の選手同士がスクラム,ラインアウト,モール,ラック,タックルなどでボールを奪い合い,パスやキックで相手陣に攻め込む激しいコンタクトスポーツである.そのため,外傷や障害が発生しやすいスポーツであり,ルールを守らないと危険であることから選手には品位と規律が求められる.近年は選手の安全を守るために,頭部への高いタックルやスクラムの組み方など多くのルール改正がなされてきた.筆者が高校生であった約40年前は,土のグラウンドのため擦り傷が絶えず,スクラムも離れた位置から全員で強く当たって組んでいた.脳震盪で倒れてもヤカンで水をかけ,意識消失したままプレーしたことを思うと隔世の感を覚える.
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