連載 リレーエッセイ 事務長の所感・9
医療経営にラグビーの精神を
正木 義博
1
Yoshihiro Masaki
1
1社会福祉法人恩賜財団済会熊本病院
pp.871
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100910
- 有料閲覧
- 文献概要
偶然ではあるが,私は2種類の異なった精神的構造を得て医療界に入った.一つは学生時代に培ったラグビースピリット,もう一つは前職での営業マンとしての顧客対応スキルである.
営業マンは物を売ることが使命であるが,デパートの売り子のような簡単な仕事ではないし,単に売り上げだけが業績評価指標ではない.相手も必死な思いで交渉に望んでくる.こちらも押したり,引いたり,時には全く関係のない話を持ち出したしながらお互いの合致点を見つけだすのである.時には会社対会社の関係で大量に契約できることもあるが,何年通っても全く契約できないケースもあり,肝腎かなめなことは交渉相手との人間関係である.この人間関係構築に失敗すると仕事は決してうまくいかない.相手は今何を考えているか,何を望んでいるか,何をして欲しいと思っているのか,心を読まなければならないのである.すべて相手のペースにはまってしまってもいけないし,こちらの考えだけを相手に押しつけても決してうまくいかない.理解力,説得力など意外といろいろなスキルが必要である.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.