学会を聞く
第67回日本手外科学会
林 悠太
1
Y. Hayashi
1
1広島大学大学院四肢外傷再建学講座
1Dept. of Musculoskeletal Traumatology and Reconstructive Microsurgery, Graduate School of Biomedical and Health Science, Hiroshima University, Hiroshima
pp.1192-1194
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_1192
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1.は じ め に
2024年4月25日(木)~26日(金)に奈良市の奈良県コンベンションセンターで第67回日本手外科学会が開催された.奈良県立医科大学手の外科学講座教授・面川庄平先生が会長を務められた.テーマは「新手一生―手の機能と解剖―」であった(図1).新手一生とは生涯をかけて新手を編み出し続けるという,伝説の棋士・升田幸三の言葉である.われわれ手外科医も生涯をかけて新しい一手(技能)を習得しているが,手の機能と解剖に焦点を当て,先達たちがどのように治療法を開発してきたか,また今後どのような技術が発達していくのかを議論したいという会長の想いが込められているとのことであった.ポスターには唐招提寺の千手観音菩薩像の手が背景に選ばれていた.この唐招提寺を開かれた人物こそ,唐からの渡日に10年以上の歳月を要し,両目を失明しても人生をかけて戒律を日本に広めてこられた鑑真である.ひたむきに手と向き合って,その理解を深めようとしてこられた面川会長の強い気持ちを感じることができた(図2).
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