学会を聞く
第49回日本マイクロサージャリー学会
林 悠太
1
Y. Hayashi
1
1広島大学四肢外傷再建学
1Dept. of Musculoskeletal Traumatology and Reconstructive Surg., Graduate School of Medicine, Hiroshima University, Hiroshima
pp.1031-1034
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_1031
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1.は じ め に
2022年12月1日(木)~2日(金)の2日間,静岡県浜松市のアクトシティ浜松で,聖隷浜松病院手外科・マイクロサージャリーセンターの大井宏之先生が会長を務められた,第49回日本マイクロサージャリー学会が開催された(図1).2022年秋に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)第7波が収束し,withコロナ時代としてさまざまなイベントの開催が緩和され始めた中での待望の完全現地開催であった.テーマは「多様性」であり,個々の独自性をもち進歩している医療や社会の中で,さまざまな意見や議論を共有し,協調し合いたいという,会長の願いが込められているとのことであった.本学会は整形外科医と形成外科医という,普段は主戦場が異なる集団が一堂に集う,いわば多様性をもった学会であり,その中でそれぞれの考え方,意見を共有しつつ,熱い議論が交わされた.参加者は約700名,演題数は約370題と非常に盛況な学会であった.
ホームページやポスターはカラフルでポップな背景であり,静岡県立文化芸術大学の卒業生が制作されたストリングアートの作品であった(図2).赤・青・黄色はわれわれ微小外科医が扱う動脈,静脈,リンパ管を表しており,一見同じようにみえてもその線はすべてが違う,いわゆる多様性を示しているとのことであった.また,トヨタ自動車やスズキ自動車の前身である織機業(遠州織の糸),浜松まつり(凧祭りの糸),楽器制作(ピアノの弦)という浜松の歴史や文化を “糸” というかたちで表されていた.微小外科医の多くがそれぞれ「オレ流」のこだわり,熱意をもって日々の診療にあたっており,これも「多様性」であろうと感じた.
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