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連載 卒後研修講座
重度四肢外傷治療における初期治療の重要性
The importance of initial treatment in severe extremity injury
佐藤 直人
1
,
善家 雄吉
1
,
酒井 昭典
2
N. Sato
1
,
Y. Zenke
1
,
A. Sakai
2
1産業医科大学病院外傷再建センター
2産業医科大学整形外科
1Trauma Reconstruction Center, University of Occupational and Environmental Health, Japan, Kitakyusyu
キーワード:
severe extremity injury
,
initial management
Keyword:
severe extremity injury
,
initial management
pp.1159-1164
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_1159
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は じ め に
重度四肢外傷とは,骨・筋腱・神経血管・皮膚の損傷を含む複合的な損傷であり,その損傷形態は多岐にわたり,適切な治療の遂行には豊富な経験が必要である.しかしながら,発生頻度の低さから多くの経験を積むことが困難であり,治療の遂行がいっそう複雑なものとなる.特に救急の現場においては,経験の浅い整形外科医が初期対応を担当することが多いため,不適切な初期治療が後の治療成績に影響を及ぼすと指摘されている.したがって,標準的治療概念をふまえた適切な初期治療が行われることが,治療全体の成功に寄与し,良好な結果を期待するうえで不可欠である.
初期治療とは,早期の抗菌薬投与,洗浄・デブリドマン,骨の安定化に集約される.重度四肢外傷の治療は専門的な知識と経験を要するものの,標準的治療概念を理解し適切な初期治療を実施することで,治療の質を高めることは決して不可能ではない.本稿では,重度四肢外傷における治療概念および初期治療の具体的な方法について解説し,その重要性を理解していただくことを目的としている.
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