Japanese
English
特集 変形性関節症の診断と治療――保存的治療から再生医療まで
Ⅷ章.足関節・足部の変形性関節症
7.強剛母趾
Hallux rigidus
秋山 唯
1
,
仁木 久照
1
Y. Akiyama
1
,
H. Niki
1
1聖マリアンナ医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., St. Marianna University School of Medicine, Kawasaki
キーワード:
halluxs rigidus
,
OA
Keyword:
halluxs rigidus
,
OA
pp.736-740
発行日 2023年5月25日
Published Date 2023/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_736
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は じ め に
強剛母趾は,母趾中足趾節(MTP)関節の変形性関節症が本態であり,主に中足骨頭と基節骨基底部の背側の骨棘が衝突し,母趾の伸展制限や疼痛をきたす疾患である.主な病因は外傷,痛風などの炎症性疾患,形態的素因,履物,生活様式,職業背景などさまざまな要因が重なり関節症へ移行するものと考えられている.形態的素因として,中足骨頭の形態が平坦型や角状型に多く,第1中足骨が第2中足骨に比べ長いことなどがあげられる.関節症変化は主に背側に生じる.中足骨頭が背側を中心にストレスが加わることにより,関節軟骨の変性や破壊が生じ,徐々に骨棘が形成される.それらが背側でインピンジメントし,可動域制限を呈するようになる.進行すると底側や種子骨中足骨関節周囲にも骨棘が形成され,伸展制限に大きく関与する.疼痛は,骨棘のインピンジメントによる機械的な因子と,滑膜炎そのものの化学的な因子により生じる1).
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