連載 整形外科医が知っておきたい他科の知識
脊椎脊髄外科医が知っておきたい脳腫瘍
菅原 貴志
1
,
前原 健寿
1
1東京医科歯科大学脳神経外科
キーワード:
脳腫瘍
,
脊髄腫瘍
Keyword:
脳腫瘍
,
脊髄腫瘍
pp.53-57
発行日 2023年1月1日
Published Date 2023/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_53
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はじめに:脊椎脊髄外科医が知っておきたい良性脳腫瘍
脳腫瘍には他科領域同様,良性腫瘍,悪性腫瘍がある.脳腫瘍と他科領域腫瘍との大きな違いとして,脳腫瘍が脳実質や脳神経などの重要構造物のなかから発生したり,これら重要構造物に接し,圧排しているという点があげられる.すなわち,摘出する際に神経機能を損傷し重大な合併症を引き起こす可能性が常に存在し,基本的にマージンをとった摘出は困難であると考えなければならない.悪性腫瘍で境界がはっきりしない場合などは,内部より減量を行い正常脳を損傷しないように摘出する.良性腫瘍で脳神経や重要な機能を司る脳表に接している場合などは,腫瘍の内部より内減圧を行い皮膜や腫瘍そのものを薄く残した摘出(皮膜内摘出)を行うこともある.本稿では良性脳腫瘍に絞り解説する.
整形外科医にも馴染のある神経鞘腫をはじめとして,髄膜種,下垂体腺腫などがあり,以下に簡単に解説する.
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