Japanese
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連載 卒後研修講座
痛みの定義と分類
-――適切な治療対応に向けて
New definition and classifications of pain:to offer proper treatment
寺嶋 祐貴
1
,
牛田 享宏
2
Y. Terajima
1
,
T. Ushida
2
1愛知医科大学メディカルセンター疼痛緩和外科
2愛知医科大学疼痛医学講座
1Dept. of Pain Palliative Surg., Aichi Medical University Medical Center, Okazaki
キーワード:
definition of pain
,
classifications
,
chronic pain
,
International Classification of Disease-11
Keyword:
definition of pain
,
classifications
,
chronic pain
,
International Classification of Disease-11
pp.457-461
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_457
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は じ め に
痛みはもっとも一般的な愁訴であり,診療科を問わず対応しなければならない症状である.本来は組織損傷に伴い生じる体の危険信号であるが,時代とともに環境や社会が変化してきたことに伴い,現代では心理社会的な要因も加わった,より複雑な状態として認識されるようになってきた.痛みにかかわる疾患群において,科学的にもさまざまな病態が解明されてきた.現在では,病態に応じて広く共通して使用できる分類ができたことにより,専門医のみならず,研修医でも体系的に痛みを評価・分類できるようになった.
そこで本稿では,これまでの痛みの認識について歴史および2020年に国際疼痛学会(IASP)より提唱された新しい痛みの定義について解説する.さらに,侵害受容性疼痛にも神経障害性疼痛にも含まれない新しい概念であるnociplastic painについて,国際疾病分類(International Classification of Disease:ICD)-11から新たに収載された慢性疼痛分類と照らし合わせながら解説を行う.
© Nankodo Co., Ltd., 2023