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特集 整形外科画像診断・評価の進歩
Ⅵ.人工知能(AI),深層学習
1.整形外科領域における人工知能技術の応用の現状
Current application of artificial intelligence technology in orthopedics
中原 龍一
1
R. Nakahara
1
1岡山大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Fuculty of Medicine, Okayama University, Okayama
キーワード:
artificial intelligence
,
medical image
Keyword:
artificial intelligence
,
medical image
pp.701-706
発行日 2022年5月25日
Published Date 2022/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_701
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は じ め に
画像認識だけでなく音声認識,自動翻訳,自動運転などのさまざまな領域で人工知能(AI)が発展している.このようなAIの発展は2012年にToronto大学のHintonがAI技術の一種である深層学習を発表してから始まったといわれており,現在は第三次AIブームといわれている.Hintonは2016年にAI研究者向けの会議で「今すぐに放射線科医の訓練をやめるべきである.5年以内にディープラーニング(深層学習)が放射線科医よりも優れることはきわめて明白である」1)という衝撃的なスピーチを行った.しかし5年以上経過した今も,放射線科医が手作業で記載した所見はわれわれの診療を助けており,AIが放射線科医を置き換える気配はない.だからといって病院にAIが入ってきていないわけではなく,代表的なAIとしてカメラAIを用いた自動体温計測があげられる.AIは当初期待されたほどの速度ではないが,確実に医療を変化させてきている.近年はAIよりもデジタルトランスフォーメーション(DX)のほうが重要であるといわれており,診療においてデジタル化の恩恵を受ける場面が増えてきた.
AI技術ばかりに目が行きがちであるが,AI領域を発展させている原動力は研究環境のDX化である.さまざまなデジタルサービスが生まれたことでAI研究への参加障壁が減り,世界中のAI人材が互いの研究成果を共有することで今までにない速度でAI研究はすすんでいる.本稿ではAI研究環境のDX化について概説した後,近年のAI研究の動向を説明し,整形外科領域のAI研究にどのような影響を与えているかを概説する.
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