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特集 整形外科画像診断・評価の進歩
Ⅲ.MRI
1.関節軟骨のMRI評価
Magnetic resonance imaging of articular cartilage
渡辺 淳也
1
A. Watanabe
1
1千葉大学大学院医学研究院総合医科学講座
1Dept. of General Medical Sciences, Chiba University, Chiba
キーワード:
MRI
,
articular cartilage
,
cartilage degeneration
Keyword:
MRI
,
articular cartilage
,
cartilage degeneration
pp.575-579
発行日 2022年5月25日
Published Date 2022/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_575
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は じ め に
関節軟骨は緻密なコラーゲンネットワークと豊富なプロテオグリカン(proteoglycan:PG)を有し,繰り返す力学的負荷に強い耐性を示す.一方で血管組織がなく,また細胞密度がきわめて低いことから自己修復能に乏しく,一度変性や損傷が生じると自然修復は困難とされる.このため軟骨の状態を詳細に把握し,早期より関節軟骨保護のための対策を行うことが,変形性関節症(osteoarthritis:OA)の予防,進行の抑制のために重要となる.また関節軟骨損傷に対する治療法として,自家培養軟骨細胞移植術1)などの再生医療が用いられるようになり,より健常関節軟骨に近い組織修復が得られるようになった.一方で軟骨修復部位は症例によっては必ずしも良好な組織での修復が得られず,力学的に脆弱な組織で修復される問題が指摘されている.このため,個々の症例の再生軟骨の修復状態を評価し,治療効果の判定や荷重負荷のコントロールを行うことが必要である.
MRIは軟部組織の非侵襲的評価法として優れたモダリティーであり,関節軟骨の詳細な形態的,質的情報が得られる.近年3T MRIの普及や,撮像シーケンスの進歩などに伴い,より空間分解能の高い画像を高速に撮像することが可能となった.また関節軟骨中の分子構造変化を鋭敏にとらえることが可能な新しいMRI撮像法が臨床応用され,軟骨変性の早期診断,定量的評価に有用な方法として期待されている.
本稿では膝関節を中心に,関節軟骨の一般的なMRI評価法に加え,最新の形態的,質的MRI評価法について解説する.
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