Japanese
English
経験と考察
梨状筋由来の殿部痛
Piriformis muscle pain
千田 優子
1
,
小松 繁允
2
,
村上 栄一
3
,
黒澤 大輔
3
,
野口 京子
4
,
安藤 晃
5
Y. Chida
1
,
S. Komatsu
2
,
E. Murakami
3
,
D. Kurosawa
3
,
K. Noguchi
4
,
A. Ando
5
1岩手県立磐井病院整形外科
2宮城県立こども病院整形外科
3JCHO仙台病院腰痛・仙腸関節センター
4JCHO仙台病院整形外科
5松田病院スポーツ整形外科・関節鏡センター
1Dept. of Orthop. Surg., Iwate Prefectual Iwai Hospital, Ichinoseki
キーワード:
piriformis muscle
,
gluteal pain
,
echo
Keyword:
piriformis muscle
,
gluteal pain
,
echo
pp.949-953
発行日 2021年8月1日
Published Date 2021/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_949
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
1928年にYeoamanが坐骨神経痛の原因に梨状筋がなりうることを報告して以来1),梨状筋が坐骨神経を絞扼して下肢症状を出す梨状筋症候群の存在が知られている.梨状筋症候群の背景には坐骨神経の破格や,梨状筋の形態異常の存在がある.しかし,梨状筋症候群における梨状筋はあくまでも坐骨神経痛を生じる因子としての存在であり,梨状筋自体が発する痛みについて注目されることはほとんどなかった.そのなかで,1946年にTravellらは下肢痛を伴わない梨状筋部付近の痛みにトリガーポイントブロックが有効であると報告した2).しかし当時,梨状筋を同定する方法が確立されていなかったため,局所麻酔薬が梨状筋のみに注入されている確証がなかった.
近年,超音波画像診断装置(エコー)の解像度が飛躍的に向上し,梨状筋の同定が容易になったことから,エコーガイド下での梨状筋内へのブロックの手技が確立してきている3,4).殿部痛のなかには,梨状筋自体の痛みが含まれている可能性が考えられる.われわれはエコーを使用して梨状筋を同定し,筋への局所麻酔薬の注射で軽快する痛み(梨状筋痛)の特徴を検討した.
© Nankodo Co., Ltd., 2021