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はじめに
多発性筋炎(polymyositis: PM)および皮膚筋炎(dermatomyositis: DM)は,突発性筋炎の代表的疾患であり,その診断には,BohanとPeterにより提唱された診断基準1)が広く用いられてきた。しかしながら,その後の研究の進歩により,Bohanらの診断基準では,多発性筋炎と皮膚筋炎との鑑別あるいは封入体筋炎などの他の筋疾患との鑑別は困難であることが知られるようになってきた2)。ここでは,多発性筋炎の臨床症状があり,皮膚症状がない筋炎を皮膚筋炎と呼ぶことにし,本総論では多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)に対するリハビリテーションについて概説する3,4)。
PM/DMでは,近位筋中心の筋力低下が認められるため,さまざまな機能障害が生じ,歩行などの日常生活動作が障害されることが多い。これまで,PM/DMに対するリハビリテーションは,筋の脆弱性に伴う過用性症候群の発症を危惧して,投薬により筋の炎症が抑えられた後の,慢性期に行うことが多かった。しかし,最近では,creatine kinase(CK)が数千U/lであるなど炎症がまだ残っている急性期からリハビリテーションを行うことが患者の機能予後を改善するという見解も出されている5-7)。本論で記述しているリハビリテーションとは,筋力増強訓練などの運動療法のみを指すのではなく,全身調整訓練,排痰訓練などを含んでいることを強調しておく。また,筋炎そのものの治療が,まずステロイドなどの薬物治療より開始されることは言うまでもない。
本稿では,これまで報告された文献を中心として,筋炎患者に対する急性期でのリハビリテーション,特に運動療法を中心に概説を行う。
Abstract
Polymyositis and dermatomyositis (PM/DM) are representative inflammatory muscle diseases. In treatment of PM/DM, drug therapies are cardinal but rehabilitation may be another option. Since muscles with PM/DM are fragile for muscle exercise, rehabilitation has been recommended mainly in chronic phase. Some researchers considered that rehabilitation for PM/DM patients in acute phase may improve their functional prognosis without major sideeffect. However, there are controversies about rehabilitation for PM/DM patients from acute phase. To consider advisability, I reviewed literatures concerning rehabilitation for PM/DM patients in acute phase.
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