Vocabulary
Dkk1
西梅 剛
1
1名古屋大学整形外科
pp.244-244
発行日 2020年3月1日
Published Date 2020/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_244
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分泌性糖蛋白質Dickkopf1(Dkk1)はアフリカツメガエルの原腸胚の背側中胚葉に発現,頭部形成の必須因子でありWntシグナルの抑制蛋白として知られている.Wntシグナル標準経路では膜貫通受容体Fzと共役受容体LRP5/6にWnt蛋白がリガンドとして結合することで細胞内のβ-カテニン濃度が上昇する.β-カテニンは転写因子であるT-cell factor(TCF)と複合体を形成し標的遺伝子の発現が起こる.Dkk1は共役受容体LRP5/6に結合しWnt蛋白のLRP5/6への結合を阻害するだけでなく,LRP5/6のエンドサイトーシスを促進し数的にLRP5/6を減少させることで標準経路を抑制している1).Dkk1の発現に関してその遺伝子発現プロモータ領域にTCF binding領域を有している.つまりDkk1そのものがWntシグナルの標的遺伝子でありネガティブフィードバックの機構の一つと考えられる2).
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