私論
標準的関節注射の手技
加来 信広
1
1大分大学整形外科准教授
pp.16-16
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_16
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ご存知のとおり,関節腔は無菌領域であり,直接の血液循環の外にあるため,生体の防御機構が十分に働きにくく,感染に弱い.そのため関節内腔穿刺(関節穿刺,注射行為を含む)を行う際に重要なことは,感染を予防することである.しかし,本邦の整形外科領域の教科書において,関節穿刺方法の記述が統一されていないのが実情である.裁判になった場合,標準的な方法で関節穿刺が行われたかどうかが問われるが,そもそも,標準的な方法自体が不明瞭である.筆者が渉猟できた範囲の教科書や文献をもとに,関節穿刺に対して標準的に求められる手技についてまとめると,「刺入部位を中心にある程度の範囲で,ポビドンヨードあるいはグルコン酸クロルヘキシジンエタノールで消毒した後に,注射をする」が基本操作になると思われる.
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