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第2腰神経切離後の下肢運動・知覚障害
-――腫瘍脊椎骨全摘術例における検証
Motor and sensory impairments of the lower extremities after L2 nerve root transection during total en bloc spondylectomy
加藤 仁志
1
,
出村 諭
1
,
土屋 弘行
1
S. Kato
1
,
S. Demura
1
,
H. Tsuchiya
1
1金沢大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Graduate School of Medical Sciences, Kanazawa University, Kanazawa
キーワード:
neurological impairment
,
L2 nerve root
,
transection
,
total en bloc spondylectomy
,
spinal tumor
Keyword:
neurological impairment
,
L2 nerve root
,
transection
,
total en bloc spondylectomy
,
spinal tumor
pp.1236-1239
発行日 2020年10月1日
Published Date 2020/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_1236
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【要 旨】
目 的:腫瘍脊椎骨全摘術(TES)において,当科ではTh2~L2神経根は術中に切離し後方から椎体を摘出している.本研究の目的は,L2高位の脊椎腫瘍に対してTESを施行し,術中にL2神経根を切離した症例の下肢運動,知覚障害を後ろ向きに調査することである.
対象および方法:2007~2016年にL2を含めた高位のTESを施行し,両L2神経根を切離した13例の術後下肢運動,知覚機能障害を調査した.
結 果:術後1週において,股屈曲筋,膝伸展筋の筋力低下を60%以上の症例に認め,改良Frankel分類の悪化を77%の症例に認めた.しかし,L2-L3,2椎のTESを施行し両L3神経根の広範な剥離を要した1例以外の12例は,最終観察時において杖なしで歩行可能であった.11例(85%)において,術後に鼡径部,大腿部の痛みやしびれが新たに出現したが軽度であり,知覚障害がもっとも多い領域は大腿前面であった.
結 論:L2神経根切離は,短期的に下肢近位筋の筋力低下を生じうるが経時的に回復し,最終的なADL障害はきたさなかった.
© Nankodo Co., Ltd., 2020