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連載 卒後研修講座
痛みのコントロールにおける非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)選択のポイントと使用法
-――本邦におけるシクロオキシゲナーゼ2(COX-2)選択的阻害薬の有効性と安全性の検討
Recommendation of NSAIDs for pain control;from the point of effectiveness and safety
冨田 哲也
1
,
辻 成佳
2
,
吉川 秀樹
3
T. Tomita
1
,
S. Tsuji
2
,
H. Yoshikawa
3
1大阪大学大学院運動器バイオマテリアル学
2大阪南医療センターリウマチ膠原病アレルギー科
3大阪大学
キーワード:
NSAIDs
,
COX-2
,
gastrointestinal mucosal injury
Keyword:
NSAIDs
,
COX-2
,
gastrointestinal mucosal injury
pp.949-955
発行日 2018年8月1日
Published Date 2018/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_949
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は じ め に
経口非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs)は整形外科医が処方する機会のもっとも多い薬剤の一つである.NSAIDsの作用機序はシクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenzse:COX)の阻害であると考えられている.NSAIDsの歴史は古く生薬として紀元前より使用されていた.1800年代になり,サリチル酸が抽出・同定されその後合成されるようになった.有効性とともに胃腸障害などが認められ,副作用軽減を目的にその後サリチル酸の誘導体の合成が試みられた.1887年に合成されたアセチルサリチル酸はアスピリンとしてその後世界中で広く使用されるようになった.1971年にVaneらによりNSAIDsの作用機序としてCOX阻害が提唱され,新規のNSAIDsが開発された.1991年に炎症性サイトカインなどで誘導されるCOXのアイソザイムとしてCOX-2が発見され,その分子構造解析よりCOX-2に選択性の高いNSAIDsが設計されるようになった.COX-2の発見以前に合成されたNSAIDsの中にもCOX-2選択性の高い薬剤もあることが判明した.広義にはこれらの薬剤を含めてCOX-2選択的阻害薬とされる1)(表1).
© Nankodo Co., Ltd., 2018