Japanese
English
臨床室
血小板減少合併肝硬変患者に対しルストロンボパグ投与後に脊椎内視鏡手術を行った1例
Avoidance of platelet transfusion with lusutrombopag for thrombocytopenia associated with chronic liver disease;report of a case
金子 剛士
1
,
稲波 弘彦
1
,
高野 裕一
2
,
古閑 比佐志
2
,
石橋 勝彦
2
T. Kaneko
1
,
H. Inanami
1
,
Y. Takano
2
,
H. Koga
2
,
K. Ishibashi
2
1稲波脊椎・関節病院整形外科
2岩井整形外科内科病院
1Dept. of Orthop. Surg., Inanami Spine and Joint Hospital, Tokyo
キーワード:
endoscopic surgery
,
lusutrombopag
,
minimally invasive surgery
Keyword:
endoscopic surgery
,
lusutrombopag
,
minimally invasive surgery
pp.919-921
発行日 2018年8月1日
Published Date 2018/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_919
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ウイルス性肝炎による肝臓疾患は多くみられるが,患者実数はもっと多いのではないかと考えられる.慢性肝疾患患者は現在50万人ほどいるとされているが,平成23年度国民調査において肝炎ウイルス検診受診率が26.2%と低いため,罹患している人数は実測値より多いと考えられるためである1,2).当院においても,術前の採血検査において,はじめて肝機能異常や凝固異常を指摘され,手術が受けられないという状況が散見される.慢性肝疾患患者においては,肝線維化の進行とともに血小板数が低下することが多く,特に肝硬変患者の約10%は血小板が5万/μl以下の高度減少例であることが知られている3).血小板減少は,出血の要因となり,目的とする治療の遂行が困難になることがある.低侵襲手術,特に脊椎内視鏡手術の場合,術野スペースが狭いため,出血があった場合,視野の妨げになりやすい.そのため,術前に出血のリスクを回避できれば,術中の危険性を低減できる.今回,血小板低下肝硬変患者に対し,トロンボポエチン(TPO)受容体作動薬ルストロンボパグの内服による術前の血小板増加を確認したのちに,術後合併症および副作用なく手術を施行できた1例を経験したので考察を加えて報告する.
© Nankodo Co., Ltd., 2018