整形トピックス
iPS細胞由来神経前駆細胞を付加したハイブリッド型人工神経
-――免疫応答下での移植細胞による神経再生促進効果
上村 卓也
1
,
高松 聖仁
2
,
中村 博亮
1
1大阪市立大学大学院整形外科
2淀川キリスト教病院整形外科
pp.1044-1044
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_1044
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
末梢神経損傷のうち縫合修復できないような末梢神経欠損に対しては,従来から自家神経移植が行われてきた.近年,正常な神経を犠牲にしないで済むように神経再生誘導管(人工神経)が開発され,本邦でも2013年に臨床応用された1).しかし人工神経は,神経再生が十分でない点や硬い素材のため移植部位が限られる点など課題もある.人工神経が標準的治療となるためには,人工神経による神経再生が自家神経移植に匹敵するもしくはそれを凌駕することが必要である.そのため人工神経を足場として,Schwann細胞や脂肪由来幹細胞などの細胞を付加した,いわゆるハイブリッド型人工神経の研究がすすめられている2).
これまでわれわれは,既存のものより非常に柔軟な新しい人工神経(ポリ乳酸とポリカプロラクトンの共重合体ポリマー)の開発をすすめてきた3).この人工神経は動きのある関節付近でも移植可能である.また,この人工神経は内層が蜂巣多孔体構造のため,足場として神経再生に有利な細胞を付加することも可能である3,4).
© Nankodo Co., Ltd., 2018