特集 大人医師の復習帳―昔の常識,今でも大丈夫?
第1章 呼吸器
[喘息]個々の患者における背景因子(treatable traits)を重視します
溝部 政仁
1
,
宮田 純
1
1慶應義塾大学医学部 呼吸器内科
pp.540-543
発行日 2026年4月1日
Published Date 2026/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika137_540
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喘息治療の今昔
喘息の治療は,吸入ステロイド(ICS)を軸に,呼吸器症状と呼吸機能に応じて薬剤を段階的に追加するstepwiseアプローチが標準となっていました.この方法論は,過剰な投薬を回避しながら患者個々に最適な医療を模索できる点で優れています.しかしながら,患者の症状の軽減の有無の確認に一定の期間が必要となるため,十分なコントロールを得るために遅れが生じる事態となっていました.近年では吸入療法がデバイスの発達,配合剤の整備によって効率的になり,さらに生物学的製剤の普及に伴い,とくに重症例において治療の選択肢が増加しました.喘息では複数の併存症を有していることが多く,喘息病態の悪化に寄与することも明らかとなっています(図1).これらの喘息診療の多様化を基盤として,より患者ごとの特性に基づいた個別化医療の必要性が認識され,treatable traitsの概念が喘息診療に導入されました.

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