特集 プライマリハ(プライマリケア×リハビリテーション治療)のすすめ―内科医が押さえておきたい基本と新常識
[Chapter 1] 超高齢社会のリハビリテーション医療に必要なフレイルの基礎知識
身体的フレイル
荒井 秀典
1
1国立長寿医療研究センター
キーワード:
超高齢社会
,
健康寿命
,
サルコペニア
,
要介護状態
Keyword:
超高齢社会
,
健康寿命
,
サルコペニア
,
要介護状態
pp.1172-1176
発行日 2025年12月1日
Published Date 2025/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika136_1172
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★★★高齢化が進む現代社会において,フレイルは健康寿命延伸の重要な課題である.これは,加齢による生理的予備能力の低下から,転倒,入院,要介護,死亡といった負のアウトカムへの脆弱性が増大した状態を指す.
★★★包括的な概念であるフレイルは,身体的要因を中心とした身体的フレイル,精神心理的要因を中心とした精神・心理的フレイル,社会的要因を中心とした社会的フレイルに大きく分類されるが,身体的フレイルはFriedらが提唱した表現型モデルに基づき,意図しない体重減少,筋力低下,疲労感,歩行速度の低下,身体活動量の低下の5項目で診断される.
★★発症メカニズムは,慢性炎症,神経内分泌系の機能不全,骨格筋の加齢による機能低下,栄養不良,活動性低下,慢性疾患など複数の要因が複雑に絡み合っている.
★★★介入法としては,運動介入,栄養介入,口腔機能の改善,薬剤調整,社会参加の促進,そして多職種連携による包括的なアプローチが求められる.
★★★早期発見と適切な介入は,高齢者のQOL向上と持続可能な社会の実現に不可欠であり,今後のさらなる研究と実践が期待される.
★★★:一般内科診療で必要な内容,★★:総合内科専門医試験レベルの内容,★:専門性の高い内容

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