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第9章 糖尿病・代謝・内分泌
[糖尿病・代謝学]多層的オミックス解析による代謝疾患の病態解明と予防・治療への応用
庄嶋 伸浩
1
,
山内 敏正
1
1東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科
キーワード:
脂肪組織
,
アディポネクチン
,
転写因子
,
全ゲノム関連解析
Keyword:
脂肪組織
,
アディポネクチン
,
転写因子
,
全ゲノム関連解析
pp.727-729
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika134_727
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Summary
・脂肪組織はエネルギー貯蔵の役割に加えて,アディポネクチンなどの生理活性物質を産生して全身の代謝を調整している.アディポネクチン受容体活性化を有する半減期の長い抗体により,月1回投与で糖尿病・非アルコール性脂肪性肝炎を治療することができると期待される.
・褐色脂肪組織(BAT)はミトコンドリアに局在するUCPIの作用を介し,熱としてエネルギーを消費する機能がある.転写因子NFIAの活性化を介してBATの機能を高めることで,エネルギー消費の促進に基づく肥満症治療法の開発につながる可能性が期待される.
・250万人規模の2型糖尿病ゲノムワイド関連解析(GWAS)におけるメタ解析で,糖尿病性腎症5期(透析療法期)についてはβ細胞プロインスリン増加クラスターが負の効果を,肥満クラスターが正の効果を有していた.糖尿病やその合併症の予防といった将来的な個別化医療へ貢献すると期待される.
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