特集 患者さんからよく尋ねられる内科診療のQuestion
第1章 総合診療
[72歳男性,糖尿病]肺炎になったのですが,肺炎球菌ワクチンは打ったほうがよいでしょうか?
佐藤 聡子
1
1東京医科大学病院 感染制御部
pp.551-553
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika133_551
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お答えします
打ったほうがよいと考えます.肺炎球菌の病原性は非常に強く,時に命を脅かすような重症感染症を引き起こします.一度肺炎にかかったことがあっても,完全に同じ病原体でなければ,獲得した免疫は機能しません.肺炎の病原体は多種多様で,同じ肺炎球菌でも100種もの異なる血清型が存在します.よって,何度でも罹患することがありますし,さらにいえば肺炎既往がある人は肺炎になりやすい,重症化しやすい素因をもっている可能性があります.肺炎球菌ワクチンは,一度の接種で,重症化しやすい複数の血清型に対して効率よく備えることができます.また,自身の予防接種によって周囲への伝播リスク低減が期待でき,身近な方を守ることにもつながります.
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